「 それは、何番目かの? 」

 

翁の言葉に心の臓がトクリと高鳴る

 

       憂  陸

 

あれから しばらく 考えた・・

自分はどこで 道を誤った? 

 

どこまでも 自分自身のことではなく、俺を思ってくれる彼女が 悲しい

 

思えば 彼女にたくさんの涙を 流させていた

 

 

 

――数日後――

 

コンコンッ

 

「薫殿・・?」

 

「――剣心  」

 

薫の近くに腰を下ろし

 

「具合は・・?」

「ん〜 今日は大丈夫 」

 

医者の見立てでは、起きているだけでもやっとのはずなのに

 

「  何か 食べたいものは? 拙者、買って来るでござるよ 」

 

「・・あんまり、食欲無いや。」

 

「  左様か  」

 

それから、薫の病状は比較的安定していた。

 

 

剣心は、その日の見舞いを終え 病院には泊まれないため、葵屋に戻り 夕餉を終えたところだった。

 

「緋村君。薫君の様子は どうなんじゃ?」

 

「――ここ数日は、安定しているでござるよ」

 

「  医者は・・何と?」

 

「・・・もう、そう長くは無いと・・」

唇が 震え、うまく話せない

 

「――そうか  して、緋村君 君にとっての薫君は、何じゃ?」

 

「 大切な人でござるよ 」

 

「 それは、何番目かの? 」

 

翁の言葉に心の臓がトクリと高鳴る

かつて愛して、自らで殺めた巴と

生きる屍だった自分にもう一度、命を吹き込んでくれた薫

 

比べることなど、出来るわけも無い

 

ただ言えることは、薫は今の自分の全てなのだ

 

俺は薫に幸せを、貰うだけで・・受身なだけで、薫に何を返せただろうか・・?

 

いや、俺は唯の一度も薫に《 幸せ 》だと、告げたことがあっただろうか

 

無意味な自問は 頭の中を堂々巡りし、夜 一人でいるときはとりわけ、心の闇に飲み込まれそうになる

 

 

 

翌日、剣心はいつもの通り 薫のもとに見舞った。

 

「薫殿・・何か、欲しいものはないでござるか?」

「  特には・・。 でも  1つわがまま言っても良い・・?」

「もちろんでござるよ!拙者に出来ることだったら、何でも!!」

 

ここ最近、薫が何かを欲するなど無かった為、薫が望むことなら何でも叶えてあげたかった。

償いなのかもしれない。所詮、彼女を傷つけた その逃れられない事実から、自分は目を背けたくて 免罪符を求めているだけなのかもしれない。

 

それでもいい。今は、君のために 出来ることがあるのならば・・・

 

 

 

             伍へ    染へ   

 

 

     個人的には、翁好きvvいい味出してます。とぼけているようで、いざというときは

核心をつくみたいな、イメージです。

いよいよ、クライマックスかな?次回ぐらいで仕上げたい(強く希望☆)